「気づいたら水皿がほとんど減っていない」——そんなことはありませんか?猫はもともとあまり水を飲みたがらない動物ですが、この「飲まない状態」を放っておくと、思った以上に大きなリスクにつながることがあります。今日は、猫がなぜ水を飲みたがらないのか、そして放っておくとどうなるのかを、飼い主さんの目線でわかりやすく解説していきたいと思います。
なぜ猫は水を飲みたがらないの?
猫の祖先は、乾燥した地域で暮らしていたと言われています。水場が少ない環境で生き延びるため、少ない水分でもなんとかやっていける体に進化してきたのだそうです。しかも野生時代の猫は、獲物となる小動物を丸ごと食べることで、そこに含まれる水分も一緒に摂っていました。つまり猫にとって「ご飯=水分補給」が当たり前で、器から水を飲むのはあくまでおまけのような行動だったんですね。ところが今のドライフード中心の食生活は、この感覚とはだいぶズレています。カリカリの水分量はごくわずかで、昔の獲物と比べると圧倒的に少ないんです。「食事から水分を摂る」という体のつくりなのに、水分の少ないご飯を食べ続けているわけですから、猫がなんとなく水分不足になりやすいのも、ある意味で自然な成り行きと言えるかもしれません。水を飲みたがらない理由は、実はこれだけではありません。器そのものが合っていなかったり、水の状態が影響していたりすることも珍しくないんです。
- 器の材質や深さ、幅が好みに合わないことがある
- 水が古くなっていたり、容器や水道水そのもののにおいが気になっていたりする
- 子猫の頃にドライフードだけで育つと、大人になってからウェットフードに慣れにくくなることがある
- 器の中に溜まっている水より、蛇口からポタポタ垂れる水、といった「自分で見つけた水」を好む子もいる——単に流れる水が好きというより、「自分で獲得した」という感覚に本能的に惹かれているのかもしれません
こうして見ると、「うちの子はあまり水を飲まないな」と感じても、それは一つの理由だけで説明できるものではなく、体質・食事・環境・器の好みなど、いろいろな要素が重なり合っているケースが多いんですね。
でも、放っておくと…
水分不足が続くと、特に気をつけたいのが次の3つです。
- 慢性腎臓病:猫は年齢を重ねるほど腎臓の病気にかかりやすく、シニアと呼ばれる年頃になると、決して珍しくない病気のひとつです。慢性的な水分不足は、腎臓への負担をじわじわと積み重ねてしまう要因のひとつと考えられます。腎臓は本来、体の水分バランスを保ちながら尿をつくる大事な臓器ですが、負担が続くとその働きが少しずつ落ちてしまうのです。
- 尿石症・下部尿路疾患:尿が濃い状態が続くと、尿中の成分が結晶や結石になりやすくなります。頻尿や血尿、トイレでつらそうにしている様子といったサインが出たときには、すでに状態が進んでいることも少なくありません。
- 便秘:体内の水分が減ると便が硬くなりやすく、便秘がちになってしまう子もいます。
さらに厄介なのは、こうした軽い不調は目に見えにくいということ。「なんとなく元気がない」「食欲がいつもより少ない気がする」——そんな小さな変化の裏に、実は水分不足が隠れていることも意外と多いのです。
よく聞く「水飲み対策」、実際どうなの?
猫にたくさん水を飲んでもらう方法として、いろいろな話を耳にしますよね。「循環式の給水器にすれば流れる水が好きだからたくさん飲む」という話もよく聞きますが、実際にはその子の好み次第な部分も大きく、給水器に変えたからといって必ずしも劇的に飲水量が増えるとは限りません。もちろん、流れる水が大好きで給水器デビューをきっかけによく飲むようになる子もいるので、試してみる価値は十分にあります。
「ひげが器に当たるのが嫌で浅い皿を好む」という、いわゆるひげ疲労の話もよく話題になりますが、これも猫によって好みはさまざまです。深い器が平気な子もいれば、明らかに浅い皿を選ぶ子もいるので、正解を決めつけずに、その子の反応を見ながら合う器を探してあげるくらいの気持ちでいるのがちょうどいいかもしれません。
今日からできる、無理のない工夫
- ウェットフードを食事に取り入れる(水分補給がぐっと楽になります)水皿をフード皿から離し、家の中に何か所か置いてみる
- 器はこまめに洗って、水も毎日交換する(ぬめりや匂いは飲みたがらない原因
になることも)
- 給水器や浅い器など、その子が好むスタイルをいくつか試してみる
- 静かで落ち着ける場所にも水皿を置いてみる
- 月に一度でいいので、計量カップなどでだいたいの飲水量を確認してみる
どれも特別な道具がなくても、今日からすぐに始められることばかりです。全部を一気にやろうとしなくても大丈夫、まずはひとつ、できそうなことから試してみてください。
中でも取り入れやすいのがウェットフードです。京丹波自然工房 のスープやロイヤルカナンのウェットフード、ピュリナのパウチなど、スーパーやペットショップで気軽に試せる商品も多いですよね。海外で人気の「Furry Wonder」のウェット缶も、水分補給を意識してつくられた商品の一つで、ドライフードだけでは水分が不足しがちな子への置き換えやトッピングに向いています。いくつか試してみて、その子がよく食べてくれるものを見つけてあげるのが一番の近道かもしれません。
飲水量の目安としてよく使われているのが、「体重1kgあたり30〜50ml」という基準です。ウェットフードなど食事に含まれる水分も合わせた1日の合計量なので、器から飲む分だけで神経質に考えなくても大丈夫です。体重ごとの目安は、だいたい下の表のようなイメージです。
|
体重 |
1日の目安飲水量 |
|
3kg |
約90〜150ml |
|
4kg |
約120〜200ml |
|
5kg |
約150〜250m |
|
6kg |
約180〜300m |





